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横山隆平・著、大山エンリコイサム・解説「TOKYO GRAFFITI ARCHIVE 東京グラフィティアーカイブ」 刻々と変わる都市の風景を記録

写真家の横山隆平さんは79年生まれ。本書は2015年前後から19年ごろまで、東京オリンピックや再開発で変わりゆく東京・渋谷を中心に、グラフィティのある風景を記録した写真集。図版は本書から

 壁画が描かれている壁は誰のものなのか。太古ならばラスコーやアルタミラ、近代ならば1920年代からのメキシコ壁画運動や、アメリカの1900年前後のホーボー(ホームレス的労働者)による公共物への情報共有的落書き、後にこの落書きはニューヨークのグラフィティの源流とも言われる。

 間違いなくイリーガル(違法行為)なものであろうこれらの表現物は東京にもあり、この本はタイトル通り、それらのアーカイブでもある。

 すくなくとも東京でこれらのものは落書きと見なされるので、ほとんどは消されてしまうが、バンクシーやバスキア、キース・へリングの例を出すまでもなく、世界の都市でそれらのいくつかは作品として切り取られて保存されたり、その場に残されたりすることもある。

 COVID-19が騒がれた初期、世界中の街はいったんコールド・スリープ状態になった。東京という都市はさらに五輪というスポーツの祭典が重なる。前回の東京五輪同様、この祭典は都市の清潔化、そして再開発と都市の富裕化、ジェントリフィケーションを引き起こす。

 都市をテーマに撮影をする写真家、横山隆平の写真に、大山エンリコイサムによる解像度の高い解説が加わる。「タギング」とよばれるそれらのメッセージは、呼び名通り街の風景にタグを付与するものだ。都市の風景はいまこの瞬間も刻々と変わっている。=朝日新聞2026年7月4日掲載