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陰謀論が生まれる原点を探る「科学否定論はなぜ人をひきつけるのか」 上村剛の新書速報!

  1. 『科学否定論はなぜ人をひきつけるのか 地球平面説から反ワクチンまで』 松村一志著 ちくま新書 1012円
  2. 『宇宙開発の哲学 科学ではわからない最後の問い』 立花幸司著 光文社新書 1100円

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 SNS社会の到来によって、世の中何が本当で、何が噓(うそ)かわからなくなってしまった、と感じる方は多いだろう。この複雑な世の中で、知る、とはいったいなんなのだろうか。

 (1)は現代科学のあり方と、それを否定し陰謀論に走る人が発生するメカニズムを、科学知識の社会学の観点から描く。陰謀論を十把一絡げに誤りとせず、どのような論理に立脚するか、荒唐無稽にうつる主張がなぜ広まってしまうのかを冷静に検討するのが、本書の特徴だ。背景にあるのは、専門家への不信。既存の知の権威や通説を疑い、エビデンスを求め、隠れた意図や利害を見出(みいだ)そうとする思考の成れの果てが、科学の否定である。そう考えてみると、私たちの誰もが科学否定論者と紙一重なのである。大事なのは「うまく疑う」ことと、人が科学否定論に陥っていく過程を知ること。自分もはまりかねない落とし穴の、回避につながるからだ。

 他方、現段階では何が正しいか、答えのない領域がある。(2)は宇宙倫理学という新分野から、地球の外をとりまく諸問題を概観する。人間が宇宙で適応できるよう、遺伝子を組み換えるのは許されるか。よその星の植民地化は良いことか。「宇宙大航海時代」の21世紀、こうした新しい思想は喫緊のものだ。それは同時に、アーレントのいう「人間の条件」、つまり地球に住むという前提を取り払うことで、人間とは何かという究極的な問いを、あらためて投げかけてくるものなのである。=朝日新聞2026年7月11日掲載