想像膨らむ下水道の世界 白汚零作品集「胎内都市 暗闇の世界にひろがる地下水道の迷宮」

吸い込まれそうならせん構造、ちみつに組み上げられたれんが。流れる水は、もやがかかったように白濁し、神秘的な雰囲気さえまとう。
下水道の世界を撮り続けている写真家、白汚零(しらおれい)の作品集。東京や福岡など国内で撮った80点が収められている。
写真家により赤や緑に照らされた姿は、汚い、暗い、といったイメージを覆しアートのよう。非現実的に見えるが、日々の生活と切り離せないものだ。排水のゆくえ、足元に広がる豊かな世界。日常の想像が膨らむ。
(神宮桃子)=朝日新聞2018年12月15日掲載