中高生の読解力低下とAIの限界を指摘し、ビジネス書としても反響を呼んだ『AIvs.教科書が読めない子どもたち』の続編。本書では、読む力をつけて“AIに負けない人材”になるための具体策を提言する。
タイトルに「子ども」とあるが、読解力が低下しているのは大人も同じ。著者も述べているように、企業でも「メールや仕様書の誤読による予期しないトラブル」が頻発しているのだ。厄介なのは、本人にその自覚がないこと。契約書を正しく読めていないためミスが絶えないが、当人はなぜ叱られるのかわからない……。「うちにもそんな社員がいる」と膝(ひざ)を打った読者も多いのではないか。
人事担当者も危機感を感じているのか、著者らが考案したリーディングスキルテストを新人研修や採用時のスクリーニングに導入する企業が増えているという。なんとこの結果から、おおよその出身大学のみならず、“新しい環境に尻込みする”といった人物像まで推測できるらしい。
体験版が本書に収録されているので、ぜひお試しを。えっ、AI時代での活躍は厳しいと診断された? 諦めるのはまだ早い。読解力は大人になっても鍛えられるのだ。=朝日新聞2019年10月5日掲載