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名句&迷句でたどる「フルポン村上の俳句修行」7選

若水句会

避寒地のパンクのままの一輪車

 創設120年を超える歴史と伝統の結社「ホトトギス」の主宰・稲畑廣太郎さんの指導句会。並み居るベテランの中で、村上さんの句が主宰の特特選になりました。「この句はすごくいろんなことが想像できてね。たぶん、お子さんが小さい頃に避寒地の別荘でずっと一輪車の練習をしているんです。それがどんどん年月が経ってきて、お子さんが成長して、でもその一輪車だけは避寒地にある。そういう一輪車がパンクしたままなんです。しみじみとした詩心があって、情景をうまいこと写生されてるなと思いました」と稲畑さんも激賞でした。

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「鬼滅の刃」メール句会

口枷を洗う少年冬麗

 映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の人気にあやかって、「鬼滅の刃」をテーマにしたメール句会を企画。ツイッターで読者にも選句に参加してもらいました。

・「鬼滅の刃原作では炭治郎が禰豆子の口枷洗っている場面はない(多分)。だけど妹思いで優しい炭治郎はこまめにこの口枷を洗ってあげるんだろう。口枷を外した彼女が牙をあらわにした鬼だとしてもいとわず。鬼滅の刃という作品の世界がぐっと広がるよい句だな」(むらさきさん)
・「鬼となった妹、禰豆子の口枷を、兄は冬の麗かな日に、妹がすやすや眠っている時に丁寧に洗って干しているに違いない。その心こそこの作品の心である」(安さん)

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「卯浪俳句会」リモート句会

Jonathan'sの'sに二月の光かな

 「俳句界の芥川賞」ともいわれる角川俳句賞を、2019年に受賞している抜井諒一さんの句会。「自然の中にあって第六感で感じる、人間が持っている感覚の新しさ」を大切に句作しています。日本語では発音されない「ジョナサンのエス」に2月の微妙な光を感じた村上さんの句に、高得点が入りました。

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東大俳句会

合格を告げて果物ナイフ持つ

 関東で学生時代を過ごした若手俳人であれば一度は参加したことがあるという、東大のインカレ(他大学合同)サークルで、「果」の席題で詠んだ一句。この日「膝に砂春暮の貝を撮るたびに」という村上さんへのあいさつ句を詠んで最高点を獲得した東大生の岩田奎さんはその後、「第66回角川俳句賞」を受賞しました。

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玉川大学

コンドーム持ってたんだね明の雪

 結社「鷹」の編集長で、「俳句王子」の愛称でも知られる俳人・高柳克弘さんによる玉川大学の講義に参加した村上さん。「雪」の題で詠んだ一句ですが、事前に高柳さんと審議した結果、「学生が引くかも」という理由で「粉雪や激しく回る乾燥機」に差し替えました。それでも高柳さんからは「『コンドーム持ってたんだね』という生活の中の話し言葉と、『明の雪』という美しく雅な季語という、本来合わないものを大胆に十七音に同居させているところに、配合の面白さが発揮されている」と高評価でした。

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尻子玉俳句会

調査終え地球土産のブロッコリー

 連載開始から1年以上、比較的正統派の俳句を詠んできた村上さんが突然、ファンタジー句会に参加しました。河童が好んで引き抜くと言われているお尻の玉「尻子玉」を冠する句会のテーマは「妄想」。俳句として成立していることはもちろん、河童や地底人、宇宙人が存在する前提で詠む、もしくはそれらの目線に立って詠むことが求められていました。「こういう異星俳句大好き。ほかの星から地球を調査しに来たんですよね」「ブロッコリーが地球の木をミニチュア化した感じだから、地球にはこういう植物があるよ、っていうのを教えるために持っていってるのかな」と盛り上がりました。

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卯浪俳句教室

空(くう)掴むごと裏返る風の蓮

 日本伝統俳句協会が主催する「卯浪俳句教室」の柏教室と横浜教室の合同吟行句会で、千葉県の手賀沼を訪れました。舟に乗って蓮を見るはずでしたが、タイミングが早すぎて、ややさみしい蓮田が広がっていました。それでも風に裏返る蓮を見事に詠んで、主宰の田丸千種さんの特選をはじめ9人の選を集めました。

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