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血塗られた歴史ひもとく「イギリス帝国 支配と残影」 上村剛の新書速報!

  1. 『イギリス帝国 支配と残影』 木畑洋一著 岩波新書 1012円
  2. 『はじめてのベルクソン 時間をひらく哲学』 平井靖史著 講談社現代新書 1320円

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 読書で最も心震えるのは、自分の思いこみが覆される瞬間だ。歴史も人間も、知らないことだらけ。そう思わされた2冊を紹介する。

 イギリスといえば、ビートルズやハリー・ポッターといった文化豊かな先進国。そんな好印象をがらりと変えるのが(1)である。残虐な暴力や強制収容所を用いて世界中を支配した空前の大帝国。しかも、支配される側の上層部を「協力者」として味方にし、抵抗運動は、非武装の抗議でさえも容赦なく弾圧。2度の世界大戦では、マオリなど植民地の先住民も動員。日本軍と戦ったのは主にインド兵だった。現在もインドとパキスタンの紛争、そして「ガザ戦争」、スーダン内戦など負の歴史的連鎖は世界中で続く。イギリス帝国の歴史は人類の歴史であり、それは血塗られた歴史なのだと、衝撃を受けた。

 そんな暗い時代のなか、時間について生涯をかけて探究したフランスの哲学者を論じるのが(2)だ。時間は均質的で過去から直線的にのびているという常識を揺さぶり、むしろ現在が過去を生成すると論じる。そう考えることで人間はより自由になり、人生も豊かになるという。さらに人類の時間も、40億年の生命の進化の観点から検討される。人間が戦争をやめることはできるのか。創造的な社会は生まれるのか。ラディカルな変革可能性も、40億年の時間から見つめてこそ、示される。最終的には人類すら超越し、宇宙の進化へと話は及ぶ。スケールの大きな思考は、圧巻の一言だ。=朝日新聞2026年95日掲載