町田尚子さんの絵本「ネコヅメのよる」(WAVE出版)
ざりざりとした舌で指先を舐めながら、じろりと視線をこちらに向ける猫の表紙が印象的な『ネコヅメのよる』。主人公は、作者の町田尚子さんが一緒に暮らしている猫「白木(しらき)」です。実は「猫にあまり興味がなかった」という町田さんですが、ひょんなことから飼い始め、今や「隙あらば猫」が創作の座右の銘になっているそう。ご本人提供の白木の写真も掲載しています。
岡田よしたかさんの絵本「ちくわのわーさん」(ブロンズ新社)
ページをめくるごとに奇想天外なストーリーが展開する『ちくわのわーさん』。リアルに描かれたちくわが、口笛を吹きながら歩いていき、「あのくろいふく すてきやなあ」と巻きずしの服を借り、海苔やかんぴょうを着てはしゃぐ姿は、子どもだけでなく大人の爆笑も誘います。食べ物シリーズはほかに『うどんのうーやん』『こんぶのぶーさん』があり、いずれもヒット作となっています。
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加藤休ミさんの絵本「きょうのごはん」(偕成社)
ネコが近所を「ごはんパトロール」しながら、各家庭の食卓の風景を覗いていく『きょうのごはん』。サンマの塩焼きにコロッケ……見開きいっぱいに描かれているのは、どれも美味しそうな家庭のごはんばかり。加藤休ミさんはクレヨンとクレパスを用いた独特の画法と迫力あるタッチで、「どこまで美味しく描けるか」にチャレンジしていると話します。
ポーランド発の大判絵本「マップス 新・世界図絵」(徳間書店)
動植物や産業、建築物、食文化、有名な人物などのさまざまなイラストを盛り込んだ絵地図で42カ国を紹介している『マップス』。作者であるアレクサンドラ・ミジェリンスカさんとダニエル・ミジェリンスキさん夫妻がフォントまで手作りして細かく描き込んだ地図で、33言語以上に翻訳され、世界で300万部を売り上げているベストセラーとなっています。
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よしながこうたくさんの絵本「給食番長」(好学社)
誰でも思い出の一つや二つはある学校給食。『給食番長』は、好き嫌いばかりする「番長」たちと、給食を作る「おばちゃん」(学校給食調理員)たちが繰り広げる物語です。番長率いる1年2組から、毎日たくさんの給食が残って返ってくることを悲しんだおばちゃんたちは、ある日「いえで」をします。「いい意味でのトラウマ」を与えたかったというよしながこうたくさんの、名刺代わりの一冊です。
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山形明美さんの絵本「どこ?」シリーズ(講談社)
物語の世界に散りばめられた様々な探し物を見つけていく絵本「どこ?」。造形作家の山形明美さんが手がける人気シリーズで、絵を描く代わりに1シーンずつジオラマを制作し、1カットずつ撮影した写真で構成しています。1シーン分のジオラマを作るのに、1~2カ月、撮影したらその次のページのジオラマ制作に入る……という手順で、1冊の絵本を作り上げるのに2年かけているという力作です。
ひがしちからさんの絵本「ぼくのかえりみち」(BL出版)
普段、何気なく見ている道路の白線。この白い線の上をずっと歩いて行ったら、どこまでたどり着けるだろう? 『ぼくのかえりみち』は、小学生の男の子「そら」が、白線の上だけを歩いて家まで帰るという、だれもが一度はやってみたことがある「一人遊び」を題材にしています。学校から家まで一人で帰る退屈な時間をいかに面白くするか、子どもの想像力や発想力の豊かさが描かれています。
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ケロポンズの増田裕子さんの絵本「ねこのおいしゃさん」(そうえん社)
「ケロポンズ」といえば、保育園や幼稚園で絶大な人気を誇る親子向けミュージック・ユニット。増田裕子さんと平田明子さんのうち、増田さんが文章を手がけた絵本が『ねこのおいしゃさん』です。ねこの医者が「ニャー」という気合で次々と動物たちを治していってしまうお話。本の最後には、オリジナルの歌も掲載されていて、音楽とともに楽しめる一冊になっています。
【番外編】子育てに悩んでいる人に読んでほしい絵本3選
■アリスン・マギーさんの絵本「ちいさなあなたへ」(主婦の友社)
親でいることの喜び、不安、切なさと、わが子への思いをシンプルな言葉でつづった『ちいさなあなたへ』。原書『Someday』はニューヨークタイムズのベストセラーとなり、20言語以上で翻訳され、世界中で愛される絵本となっています。3人の子育てを経験したアリスン・マギーさんは「どんなに大変で、つらい気持ちでいっぱいいっぱいになってしまっても、たとえ孤独に駆られてしまったとしても、あなたは一人じゃない」とメッセージを送ります。
■益田ミリさんの絵本「はやくはやくっていわないで」(ミシマ社)
このタイトルを見ただけで、「ドキッとする」人もいるはず。早く出かけたいから、子どもについ言ってしまう言葉「はやく、はやく!」。子どもだけでなく、大人もスピードが求められる世の中で、せかされることがどんな気持ちか、それを短い言葉と鮮やかな絵で表現した絵本です。マイペースに進む主人公の船が、せかされたり、比べられたりして、気持ちが揺れる様子が描かれています。
■訳者・高橋久美子さんの絵本「おかあさんはね」(マイクロマガジン社)
「おかあさんはね ときどき かぜに おねがいするの/あなたが ないたり せずに/きょうも わらって いられますように」――。子どもの成長と幸せな人生を願う母の思いがページをめくるごとに綴られた『おかあさんはね』。全米でベストセラーとなったこの絵本は日本でも2017年に刊行され、今も着々と版を重ねています。翻訳を担当したのはチャットモンチーのドラマー、作詞家として長く活躍してきた高橋久美子さんです。