1. HOME
  2. インタビュー
  3. 作家の読書道
  4. 森バジルさんの読んできた本たち(後編) 「方舟」「地雷グリコ」、そして短歌歌集まで

森バジルさんの読んできた本たち(後編) 「方舟」「地雷グリコ」、そして短歌歌集まで

「作家の読書道」のバックナンバーは「WEB本の雑誌」で

清張賞を受賞してから

――松本清張賞を受賞した『ノウイットオール あなただけが知っている』は、同じ町を舞台にした連作短篇集ですが、一篇一篇が異なるジャンル小説になっていますね。これは清張賞に出そうと思って考えたものなのですか。

:アイデアを思いついたのが先です。ジャンルが違う五つの短篇を連作にしようと思いついたのが1月くらいで、頑張って書けばどの賞の締め切りにも間に合うタイミングだったんですけれど、清張賞がジャンルを問わないと書いてあるからいいなと思い、そこに向けて書いていきました。

――ひとつの小説に五つのジャンルを入れようと思ったきっかけって何かあったのですか。

:正月に地元に帰った時、映画館で「ラストナイト・イン・ソーホー」を観たんです。女の子が田舎から出てきて、都会でいろいろ過ごすうちに事件に巻き込まれるという、ホラーとファンタジー的な要素がある話なんですけれど、いろいろあって最後に家が燃えるんですね。そこで消防士の人が火を消している姿がちらっと映って終わるんです。それを観て、主人公の女の子にも紆余曲折があったけれど、今ちらっと映った消防士の人も「バックドラフト」的な、消防士としてのお仕事もの的なストーリーがあるなと思った時、それを全部やっちゃったら面白いのではと思い至りました。お仕事ものとかホラーとかファンタジーとかミステリーとか、ひとつの小説のなかで全部繋げちゃえるんじゃないかと。

――探偵小説、青春小説、SF、ダークファンタジー、恋愛小説が入っていますが、たしか青春小説と恋愛小説を書くのはこれがはじめてだったんですよね?

:そうですね。青春と恋愛をはじめて書きました。それまでは小説って非日常を書けるのが楽しいんじゃないかと思っていたんです。でもこれを書いてみて楽しかったし、評価が高かったのも青春短篇だったりしたので、意外と非日常じゃない部分を書く面白さってあるんだなと気づけました。

――青春短篇は、漫才コンビを始める女の子たちの話ですけれど、お笑いはもともと好きだったのですか。

:お笑いを好きになったのはわりと最近ですね。高校くらいまでもM-1は毎年楽しみにしていたんですけれど、宮崎はテレビのチャンネルの数が限られているし、劇場も全然なくて、なかなかお笑いを追いかけるのが難しかったんです。宮崎出身のお笑い芸人さんは結構いるんですけれど。永野さんとかとろサーモンさんとか蛙亭のイワクラさんとか。
2019年のM-1でかまいたちさんの漫才がすごく面白くて、さらにそれを上回るミルクボーイさんの漫才で最高得点が出てモメンタムを感じたことと、TVerとかでバラエティが見られるようになったことが大きかったですね。バラエティって結構、他の番組であったくだりを下敷きにして、別の番組で話を広げるところがあるんですよ。たとえば「あちこちオードリー」のハライチさんの回で、相方の春日さんと澤部さんは漫才師じゃなくて受け取り師だ、ネタを受け取ってやってるだけだ、みたいなくだりが盛り上がったんです。それを下敷きにして、他の番組で「お前は受け取り師だろう」というやりとりがあって。バラエティが徐々に点ではなく線で見らえるようになったというか、コネクティングドッツ的な感じになっていったことで、よりのめり込んでいきました。それまでテレビを録画してまで見る必要はないと思っていたんですけれど、TVerでボタンひとつで見逃した番組も見られるようになって。妻が結構テレビを見る人なので、結婚してから自然と二人で見るようになりました。一人ではわざわざ見ないけれど、二人で話しながら見ると見やすいな、というのもあったりして。
それで、やっぱりM-1が面白いから題材にしようと思いました。お笑いの小説はあさのあつこさんの『THE MANZAI』も好きでした。大前粟生さんの『おもろい以外いらんねん』、又吉直樹さんの『火花』も読んでいたので、芸人の哀愁みたいなところではなく、明確にスポーツとして青春小説でお笑いを書こうと思いました。

――『ノウイットオール』の恋愛小説のパートでは、短歌が重要なアイテムになりますよね。短歌はお好きなのですか。

:すごく好きです。きっかけは何だったか憶えていないですけれど、高校の授業でも短歌を取り上げていて、URLをそのまま書いている短歌があったりして尖っているなと思っていました。その時はそう思うだけで止まっていたんですけれど、その後、宇野なずきさんがtwitterで現代短歌を書かれているのがよく流れてくるので宇野さんの同人誌っぽいものを買って読んだら、いい短歌がいっぱいあって。あと、木下龍也さんの歌集を読んだら凄まじい短歌がいっぱいあって、そこからはまっていきました。
兼業で作家をやっているとなかなか本を読む時間がないんですけれど、短歌は気軽に、どのページからもぱっと読めるので、結構歌集は買っています。
瀬戸夏子さんが『はつなつみずうみ分光器:after 2000 現代短歌クロニクル』という本で短歌の歴史みたいなものを解説されているんです。短歌はもともと文語で書かれていたんだとか、自分のことを書くものだったのをカウンターで今こうなっているんだといったことは、その本で知りました。

――作中の短歌以外でも、ご自身で詠まれたりするんですか。

:最近はできていないんですけれど、『ノウイットオール』でデビューした年に、短歌の賞も獲れたら熱いなと思って応募したんですけれど、全然駄目でした。でも自分の歌集は出したいなと思っています。

――ああ、作家の方も歌集出していますよね。大前粟生さんの『柴犬二匹でサイクロン』とか。

:そうですよね。大前さんも出されていますよね。

単行本2作目、3作目の挑戦

――『ノウイットオール』は、この新人はどんなジャンルでも書ける、と思わせましたよね。そのぶん、2作目で何を書くのかは、プレッシャーもあったのでしょうか。

:そこは逆に、プレッシャーは絶対に無視しようと思いましたし、わりと無視できたと思います。もう、好きなものを書こうと思いました。その時期にちょうど山里亮太さんのトークライブに行ったら番組出演の話をされていて、生放送って面白いなと思ったので、自然な流れで生放送の話を書こうと思いました。生放送で死体が出てきたら面白いなっていうのも、わりと自然に思いついたんです。プロットもすんなり通りました。
タイトルや装丁をもっとミステリーっぽくするやり方もあったかもしれませんが、自分は本格ミステリーの素養があります、というわけでもないし、そこまでミステリーの人と思われたくない気持ちがあって。いろんなジャンルを書く人だって思われていたいなというのは今でもあります。

――ああ、そうなんですね。『なんで死体がスタジオに!?』の次が『探偵小石は恋しない』だったので、森さんはミステリー方向にシフトしているのかなと思ったんですよ。

:3作目に『探偵小石は恋しない』を出すことによって、そういう目で見られるだろうとは思っていました。でも、これまで依頼をくださったのは『ノウイットオール』を読んだからという版元さんが九割くらいなんですけれど、青春の話がよかったから青春小説をとか、恋愛と短歌がよかったからまたそれを絡めてとか、依頼内容はすごくいろんな種類があって。そのなかで、たまたま次に書くことになった小学館さんの依頼が、第一章がよかったから、ああいう個性の強い探偵の話を書いてくださいというものだったんです。いろんなジャンルを書いていきたいというのがありつつ、結果的にミステリーが続いたという形ですね。

――では『探偵小石は恋しない』は、どのように考えていかれたのですか。

:個性のある探偵ということと、恋愛の話を入れてほしいという依頼だったので、じゃあどうするかと考えた時に、『名探偵コナン』の毛利小五郎が、探偵の仕事って浮気調査とかペット捜しばかりだよと言っている印象があったのを思い出して。個性的な探偵と不倫調査を掛け合わせたミステリーって、意外とあまり書かれていないのでは、と思いました。それで、5章立てで、第1章から3章までは不倫調査の話で、過去篇があって、最後はひっくり返すというような構成を考えて、プロットを出して、OKをいただきました。

――その最後のひっくり返し方がめちゃめちゃ大胆だったのですが。あれはもう、やってやろう、という気持ちで?

:そうですね。その気持ちが強かったですね。でも、ただやるだけだと「なんでそれやったの?」という話になっちゃうなと思ったりもして。作品とテーマと絡めて、そういうことをやる必然性を考えました。さきほど話していて思ったんですけれど、アガサ・クリスティー賞に応募してなぜクランチ文体なのかと言われた時の、明確に必然性が伝わらないといけないんだという印象が残っていたからこそ、このトリックにする必然性を入れたいと思ったのかもしれません。

――確かに、「そういうことだったのか!」という、驚きと納得が増幅されますよね。そして刊行してからは大変な評判となり、本屋大賞にもノミネートされましたね。

:ありがたい限りです。もう、版元のみなさんと、たくさんコメントをくださったり店頭で推してくださったりした書店員の方々のおかげです。こういう景色を見たかったなって思いました。ライトノベルで売れなくて、自分がなかなかうまくいかない時に『同志少女よ、敵を撃て』が売れていくのを見て、規模はまだ違いますけれど、あれと近しい感覚を味わえるといいなと思っていたので、本当にありがたいです。

――そのあと、会社を辞められたのですか?

:はい。ノミネートが決まったら辞めようと思っていました。そもそも専業作家になりたいという話はずっとしていて、妻にも「いいよ」と言われていたんですけれど、とはいえ自分も不安なので、何か一個自信につながるものがほしくて。それで、ノミネートされたら辞めるということにしていたら、今年年明けにノミネートの話をいただいたので。もうちょっと、子育てと仕事と小説の全部をやるのは無理だということもあり、辞めました。
まあ少なくとも3年くらいは作家業に専念して、どこまでいけるかやってみようというところです。

――辞めてからまだそこまで時間は経っていませんが、執筆時間は増えましたか。

:明確に増えました。単純に、会社に行っていた時間が書いている時間になったので。あと、本を読む量とか、映画を観たりする量も増えたと思います。締切があるタイミングだと無理なんですけれど、ゆっくり映画に行ったりできるようになりました。

最近の読書生活&活動

――最近の本も含めて、デビュー以降に読んで面白かった本を教えてください。

:圧倒的に面白かったのは、夕木春央さんの『方舟』と、青崎有吾さんの『地雷グリコ』です。自分だけでなく、みんなが好きな本ですけれど。それと、長谷川まりるさんの『呼人は旅をする』。長谷川さんは話題になった『杉森くんを殺すには』の著者なんですけれど、こちらの本もすごく面白くて。何かを呼び寄せてしまう性質の人がいる、という設定なんですね。たとえば雨を呼び寄せてしまう子なんかは、その子がずっといるとその場所が雨続きになっちゃうので、日本各地を転々としなくちゃいけない。マイノリティーの問題をそういうファンタジーで描いているんです。こういう描き方ができるのかと思って、それがすごくよかったので。ミステリー的、エンタメ的に面白かったのは『方舟』と『地雷グリコ』なんですけれど、それとは違う領域で面白かったのが『呼人は旅をする』。それと最近読んだなかでは、石田夏穂さんの『黄金比の縁』です。

――ああ、新卒採用試験の面接官になった女性の話ですよね。

:そうです。純文学なのかなと思って読み始めたんですけれど、めっちゃエンタメ的な面白さがありますね。短いので一気に読めるけれど、すごい読後感というか。なんか、「本を読んだな」っていう感じがしました。体験としてすごく面白かったです。
それと、綾辻行人さんの『十角館の殺人』は、十代の頃に読んだと記憶していたんですけれど、社会人になってからかもしれません。ミステリーの勉強用に読んだ気がするんです。読んで、「こういうことをやりたいな」と思ったのを覚えています。
あとは朝井リョウさん。『生殖記』や『イン・ザ・メガチャーチ』、『正欲』とか。どれも面白くて、もう朝井リョウがあらゆるエンタメを書けばいいじゃないか、と思ったりもしました。僕もやりたいなと思っていたことを、どれも僕が考えていたより高いクオリティの小説で実現されていて、すごいなと思っています。
純文学だと、日比野コレコさんの『ビューティフルからビューティフルへ』は誰かにお薦めしてもらって読んだんですけれど、すごいパンチラインがいっぱいありました。攻撃力の高い一文があるんですよね。市川沙央さんの『ハンチバック』もそうですよね。こういう小説って、意外と今の時代のショート動画に慣れた若者に刺さるんじゃないかと最近思っていて。面白い文がたくさん入ってるから、全部読めなくてもその部分を拾っていくだけで楽しめるんじゃないかっていう。エンタメとかだとどうしても待ちの部分があるんですよね。たとえばミステリーだと、死体が出てくるまでに時間がかかるので、そこがつまらないと言われることがあるので。意外と純文学のほうが、今の若者に読まれるんじゃないかなって、最近ちょっと思っています。
海外作品では、『ワニの町に来たスパイ』シリーズが好きですね。ポップなミステリーを書こうと思った時に検索したら出てきて、読んでみたらすごく面白かったです。

――最近は、ノンフィクションや漫画などは読みますか。

:読む時は読みます。ちょっと前の本ですけれど、酒井順子さんの『容姿の時代』がすごく好きでした。切れ味がよくて。あと、令和ロマンの高比良くるまさんの『漫才過剰考察』とか。
漫画では『さむわんへるつ』というラジオの漫画がすごく面白くて。たぶん、これからどんどんアニメ化とかされていくだろうなという感じです。あとは、サブカルよりの漫画でいうと『ドロヘドロ』とか。平方イコルスンさんという方の『スペシャル』も相当好きです。ちょっと田舎の高校生の雰囲気感がすごく出ていて、会話が面白くて。こんな小説を書きたいと思ったりします。他には『メダリスト』とか、『スキップとローファー』とか『ワールドトリガー』いったメジャーどころとか。それとやっぱり、『HUNTER×HUNTER』が一番好きで、連載再開を心待ちにしています。

――映画もいろいろご覧になっていますよね。

:大学時代から結構観ていて、「ライフ・イズ・ビューティフル」がすごく好きだったんですけれど。あとは、ガイ・リッチー監督の作品がすごく好きですね、「スナッチ」とか「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」とか。点と点が線に繋がっていく感じや、伏線の回収がすごく面白い。それと、やっぱり「パルプ・フィクション」はすごく好きで、何回も観返しています。

――好きになったものは本でも映画でも繰り返し見るタイプですね。

:見返さないといけないなと思うところもあります。子供の頃、家にある本が限られているから自然と何回も同じ本を読んでいたんですよね。すると、読み直した時にやっぱり発見があるし、内容も憶えるし、このシーンが好きだな、みたいなものが深まっていくところがあって。大人になってからはどうしても一回しか読めなくて、そうするとすぐ内容を忘れてしまうし......。なかなかできないんですけれど、できるだけ読み返したいなというのはすごく感じています。

――読書日記や記録はつけていますか。

:「ビブリア」という読書管理アプリで記録だけはつけています。公開されない形で本を登録できるアプリです。「読書メーター」のように公開されるアプリもありますけれど、そうすると自分の場合は変なバイアスがかかりそうなので。
最近はちょっとずつメモもつけています。三宅香帆さんとか「ゆる言語学ラジオ」の堀元見さんとか、みんな読書メモをつけていると聞いたんです。確かにメモしながら読んだほうがいいなということにやっと気づいたところです。

――読みながらメモをつけるのですか。

:読みながら、ですけれど、まだあまりできていないです。付箋は貼っています。ここがいいなとか、ここはパンチラインだなと思うところに貼って、読んだ後に見返したりしています。

――『探偵小石は恋しない』にはさまざまな既存の作品が出てきますが、基本的に森さんがお好きな作品なのですか。

:そうですね。『六人の嘘つきな大学生』とか『GOTH』とか、『方舟』とか、早坂吝さんの『〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件』とか、自分が好きな作品を出そうと思っていました。「出てくる本を読んでみよう」と言ってくれている感想見かけたりて、それがすごく嬉しいです。

――現在は、どのような一日を送っているのでしょうか。会社に行っていた時間帯に執筆しているのですか。

:そうですね。子供を保育園に送って、九時くらいに帰ってきて、そこから迎えに行く五時くらいまでですね。途中で休憩したり、本を読んだり、散歩に行ったりもするんですけれど、基本はその時間帯に書いています。切羽詰まっている時は夜も書きます。今のところ専業になってからずっと切羽詰まっているんで、夜もずっとやっているんですけれど。

――そんなお忙しいなか、『殺し屋の営業術』で江戸川乱歩賞を受賞した野宮有さんとポッドキャストを始められましたよね。野宮さんとはお知り合いだったのですか。

:お互いに存在は知っていたんです。僕はもちろん知っていたし、野宮くんもインタビューで僕の名前を出してくれていたりして。一人でも知り合いを増やしておきたかったので、東京に行く機会があった時に野宮くんに「ちょっとご飯食べませんか」って僕から誘ったんです。

――お二人はライトノベルで一度デビューしているという共通点もありますしね。

:そうですね。ライトノベルから始まって、お互いいろいろあって文芸に来て、文豪の名を関した賞をいただいて、二人とも福岡に縁があって......。だいぶ共通点が多かったので、さすがに無視できないというか、喋りたいなと思っていたんです。
それとは別に、専業になったら何か違うことをしたいと考えていて、ポッドキャストがいいな、と。誰か一緒にやってくれないかなと思っていたんです。野宮くんとお昼ご飯を食べた時に、深夜ラジオが好きだという話をしていたので、これは切り出してみるかと思って。「ちょっとポッドキャストやらない?」って。

――ポッドキャストがいいなと思ったのはどうしてでしょう。

:大勢の人に聞いてもらいたいというよりも、自分のために喋ることができる場があるといいかなって。こういうインタビューを受けていても、自分はうまく話せていないなと感じるし、話すことには技術が必要だなと思うと、数を重ねていったら多少よくなるんじゃないかというのがあって。まあ、いちばんの理由は、専業になったら人と会話する機会が減るから、無理やりにでも会話する機会がほしかったんです。頭の片隅には、朝井リョウさんと加藤千恵さんのポッドキャストがめっちゃ面白い、ということもあった気がします。

――お二人はリモートで会話して、それを録音して編集しているわけですよね。トークテーマはどのように決めているのですか。

:台本はありません。隔週で二回分ずつ録っていて、毎回お互い一個ずつ、これを話そうというのを持ってきて話し始めるという感じです。

――お二人ともお話上手だし、お互いとのリズムもムードもいい感じです。すごく気が合う二人という印象です。

:ありがとうございます。考えてみたら結構ギャンブルだったというか。気が合わなかったり、野宮くんがやばい奴だったりしたかもしれないけれど(笑)、やってみたら野宮くんがすごく面白いし、邪気がない人なんです。なんか純粋な部分があるところがすごく好きで、とても楽しくやっています。

――今後のポッドキャストも楽しみですが、執筆活動も気になります。

:『探偵小石は恋しない』の続篇を書いています。「なんスタ(なんで死体がスタジオに!?)」の時はプレッシャーを無視できたんですけれど、今回はやっぱり、プレッシャーを感じていて......。ちょっと前作とは違う土俵というか、違う構成にしたいと思っています。たぶん、前後篇に分けて「STORY BOX」で連載して、9月末刊行を目指しています。
来年はミステリーではないものも出したいと思っています。今言えるものだと、「小説新潮」に掲載している「演じろ、櫛田」という、演劇の青春小説とか。トリックや派手な伏線回収のない純粋な青春小説で、自分でもすごく気に入っている作品です。他にも何冊か出したいものがありますが、どれもミステリーではない小説になりそうです。頑張って書いていきたいなと思っています。

「作家の読書道」のバックナンバーは「WEB本の雑誌」で

前編はこちら

森バジルさんの読んできた本たち(前編) 「NARUTO」2巻が教えてくれたエンタメの原体験